氷雪王の求婚 〜春にとけゆくものの名は〜 (コバルト文庫)

著者 :
  • 集英社 (2010年10月30日発売)
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感想 : 16
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“氷雪王”と評されるエドリック三世に嫁いだ田舎貴族の娘・アイリス。エドリックが彼女に求めることは「世継ぎをもうける」ただ一点だけ。しかし彼女によって彼の堅い氷の鎧はいつしか溶かされていく。それが悲劇の始まりだとも知らずに――

昨年のロマン大賞受賞作。もう一方の方と同じく「政略結婚」モノだったのですが、私はあまりこの題材を好かない。けどまあ、カタブツが段々素顔を見せて関係が柔らかくなっていくというものは好きではあるのだけどね…… コバルトの文体ってどうしても読みにくい、なのに(見た目)易しい文体なのに、この作品はそうではない。どちらかというと堅い文章なのですが読みやすいなと。作者さんもインタビューで言っていましたが歴史書を読むのが好きだとか。博覧強記ぶりがうかがえて、とても面白く読めました。もっとこういうしっかりした文体のコバルト増えるといいな!
内容もとても面白かった。あんまり西洋系の話は得意でないしカタカナ苦手なのだけど、そういうの関係なく。エドリックとアイリスが互いにラブラブ、というよりも「一緒の夢を持って共に進んでいこう、共に助け合っていこう」とする夫婦像だったので多分好感が持てたのかもしれない。カルスとのイベントのあとの二人にきゅんきゅんした。アイリスは後半になるととても頼もしい女性になるのでそれも好感だったかな。戯曲とルイを絡めるやり方も非常に上手い。

最後結局エディス一世は二人の息子ってことでいいんかな? と思った。おそらくそうとしか読めないが。全体が歴史書のような構成&引用部分で節が終わるのですがそういう書き方も「にくいな~」と思える程うまかったです。現代ものも読みたいです。まる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ライトノベル
感想投稿日 : 2011年1月10日
読了日 : 2011年1月10日
本棚登録日 : 2011年1月5日

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