シリーズ、第16弾。
しばらくは、五十嵐海里が芝居の道に戻るべく、倉持悠子の元で朗読の修行をする話が続いていた。
今回は、海里が芸能界を追われた後も変わらずに、先輩先輩と子犬のように慕ってくれた、里中李英がクローズアップされる。
李英とは、海里が人気タレントとなるきっかけを作った、2.5次元ミュージカル公演で共演し、ともに稽古で苦労を重ねて交流を深めた仲。
ロングランが終わった後、海里はタレントとしてテレビ出演をするようになり、やがて身に覚えの無いスキャンダルのせいで芸能界を追われた。
そして、夏神に救われて「ばんめし屋」で働くようになり、ようやく心の傷も癒えて、少しずつ演劇を勉強し直すようになっていた。
一方、その間も李英は舞台一筋。
なかなか大きな役が付かない間も、コツコツと小さな芝居に出て、努力を続けていた。
せっかく積み上げてきた夢が、自分ではどうすることもできない力で崩されようとする時、人はどう生きればいいのか。
まわりの人間は、大切な人の苦しみや悲しみを支えたいと思った時、どんな言葉を掛ければいいのか。
夏神の師匠・舟倉が夏神を思い、
海里の師匠・夏神が海里を思い、
李英の先輩・海里が李英を思う。
波乱万丈の人生があっても、いつか思い出の飯を食べながら笑い合いたい。
それが願いだ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年11月5日
- 読了日 : 2021年11月5日
- 本棚登録日 : 2021年11月5日
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