料理の四面体 (中公文庫 た 33-22)

著者 :
  • 中央公論新社 (2010年2月25日発売)
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感想 : 124
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40年ほど前に、著者が34歳の時に執筆されたものだそうだ。
今読んでも、全然古くない。
というか、いろいろな料理エッセイを楽しんできた今こそ読みたい。
多分、40年前の自分には理解できなかっただろうと思う。

「四面体」とは、正三角形が三つ組み合わさった形なのはご存知の通りだが、「料理の四面体」では、その底面を“ナマモノ”と定義し、頂点を“火”とする。
頂点に向かう3本の稜線をそれぞれ、“空気”“水”“油”とすると、あらゆる料理はこの多面体のどこかに位置づけられる。
…というすばらしき発見を、玉村氏はこの本で発表している。

…と書いても、この本を読んでいない人には何が何やら???
この本を順を追って読んでいけば、なるほどと分かる。
そこまでの過程には、料理の歴史を縦軸に、世界の広がりを横軸に、著者の体験や調査によっての発見や考察が、これでもかとばかりに描かれている。
簡単に済むものをいじくりまわしすぎなんだよ、みたいなフランス料理に対する皮肉を、そこここにちりばめているが、著者のこだわりも、料理をかなりいじくりまわしすぎなのでは、と突っ込みを入れたくなる。

それにしても、人間の考えることはどの国でも同じなのだな、と文明の発達に思うのだが、実に、料理にもその法則が当てはまる。
人類みな兄弟、料理もみな兄弟!
じっくり読んだら時間がかかってしまったが、とても面白かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年4月8日
読了日 : 2019年4月8日
本棚登録日 : 2019年4月8日

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