戦略がすべて (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社 (2015年12月16日発売)
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■感想
・後書きで、戦略的に勝つ方法を提示したいと書かれていた。本書は空気感のようなものを論理的に噛み砕いて説明しており、考えるきっかけを与える本だと思う。
・当方は本書だけでは、物足りないと思ったため、他の書籍も読んでみたいと思った。

■要諦
・プラットフォームビジネスは、人、物、金、情報をネットワーク化することで、そのネットワークの流量が増えるに従って、そのハブであるプラットフォーム事業が利益をあげるという仕組み。さらに、一度強いプラットフォームを築き上げれば、利益を独占し、リスクを回避できる。→全くの新規事業者が、プラットフォームを作ることはできるか?
・「報酬は何で決まるか?」…従業員の給与=付加価値額×労働分配率(生産された付加価値のうち労働者が賃金として受け取る比率)できまる。労働分配率は国際的にも60%で違わない。
・付加価値額=「資本装備率」(従業ん一人あたりに投入されている資本量)と「資本生産性」(資本から生まれる付加価値額の比率)から決まる。その前提では、大企業と中小企業では、「資本装備率」が倍以上違う。なお、資本生産性は中小企業の方が高かったりする。結局のところスキルの高低ではなく、もともと社員に与えられている資源量で給与差がついている。つまり、学習可能なスキルは給与に繋がらない。
・漫画の原作者より、制作の方が設ける。希少なスキルを持っていても、より大掛かりな「儲ける仕組み」との関係ではコモディティになってしまう。資本=儲ける仕組みの形成に加わり、リスクリターンをシェアできているかどうか、という話。
・イノベーションは少数意見から生まれる。イノベーション、さらに言えば、資本主義というものは、少数意見が既存の多数意見を打ち破り、新しい多数意見に変わっていくプロセスのいて最も大きな価値が生じるからである。全員がいいと思う考えは、多くの人が殺到するからかえって過当競争になり勝者は誰もいない戦いになる。むしろ、ほとんどの人が注目していない、誰もいない領域を自ら開拓したものに多くの報酬を与えるのが市場メカニズムである。
・選択と集中の中で、なんとか維持させるようでは、逆転ホームランは生まれない。IPS細胞の事例で、JST(科学技術振興機構)は合議制ではなく、目利きできそうな専門家の1人の意思決定で予算がつけられる組織だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年7月6日
読了日 : 2020年6月30日
本棚登録日 : 2020年6月30日

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