「精神分析入門」を読む (NHKライブラリー 114)

著者 :
  • NHK出版 (2000年2月1日発売)
3.46
  • (1)
  • (5)
  • (6)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 43
感想 : 8
4

新潮文庫で以前「精神分析入門」を読んだが、難しかった。
本書はその精神分析入門をコンパクトに解説した良書である。
コンパクトだからと侮るなかれ。非常に整理され、フロイトの精神分析がとてもわかりやすくなっている。
著者も言及するように、フロイトは批判を想定して、先回りして批判に応えるといった講義スタイルを取っている。彼の神経質傾向が如実に現れているエピソードだが、やはりそれだけ、フロイト理論が当時のアカデミズムに受け入れられなかったのであろう。
最終章でフロイトは、精神分析は科学であると言い切り、宗教を批判している。現代において精神分析を科学だという者はほとんどいないだろうが、当時宗教を敵にまわし、科学界からもリビドー論等で異端視され続けたフロイトは、弟子達の離反を経てもなお、自分の信念を貫き続けたのだろう。彼のその努力と自信(と不安)が、本書から伝わってくる。

その努力により、現代では精神分析は立派な「世界観」となり、様々な領域に影響を与えている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年4月3日
読了日 : 2022年4月3日
本棚登録日 : 2022年3月20日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする