メイド・イン・トーキョー

  • 鹿島出版会 (2001年8月20日発売)
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都市を読む、ということは60年代からたくさんの試みがなされているが、その中でも僕は、これからの都市や建築を規定していくような規則(ノイズ)に興味がある。目には見えないが確かに存在している規則に興味がある。概念ではなく僕らが住んでいる実際の都市に目をやると、目に見えるものが意味もなく歪められている事例がたくさん存在していることに気付く。今和次郎の「考現学」や藤森照信他の「路上観察学」のような表層的発見(高度には現象学的という)ではなく、表出している歪みの原因を知りたい。発見した歪みを目の前にして、この歪みは実は無関係に思える別の事柄を関係しているのではないか、そんなことを考え始めるととてもワクワクしてくる。

2001年にアトリエ・ワンによって出版されたこの「メイドイントーキョー」は、建築的な構成の美学や形式にとらわれることなく、周辺環境やプログラム等の条件への愚直な対応を優先させた建物(ダメ建築と呼ぶ)を収集し、ガイドブックという形で紹介したものだ。優等生的建築だけを評価するのではなく、変な建築を「ダメ建築」として愛情をこめて呼んでみる、この試みは非常に面白いものだと思うし、スタンスとして非常に好感を持てる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2010年 文庫・単行本
感想投稿日 : 2010年11月9日
読了日 : 2010年11月8日
本棚登録日 : 2010年11月8日

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