人生の成功とは何か 最期の一瞬に問われるもの

著者 :
  • PHP研究所 (2005年6月23日発売)
3.94
  • (17)
  • (10)
  • (20)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 120
感想 : 14
5

著者の田坂先生いわく、人生には「三つの思想」があるといいます。

1.勝者の思想:競争で勝者になることを人生の成功と考える。
他人との競争に勝つことを志向すれば、自分らしさ、個性ある生き方を貫くことが難しくなる。
かつ、勝者がいれば敗者も必ずいる(喜びの奪い合い)という冷厳な事実がある。
そして一つの競争において勝者になったところで、さらに上位の競争への参加を余儀なくされてしまう。
勝者になっても成功の喜びを感じることはできない。

これに気が付くと、人はより成熟した思想が芽生える。
2.達成の思想:人生において目標を定め、それを達成することを人生の成功と考える。
1が喜びの奪いあいならば、2は喜びの高めあい、ともに達成の喜びを得ることが可能になる。
自分らしさを考え、それを表現できる思想だが、人は必ずしも目標を達成できるとは限らない。
あるいは達成できたとしても、人生は続くため、そこでは終わらない。
達成の喜びを永続させることはできないため、また新たな目標が必要になる。
目標に向かって努力をするときには、かならず背景に欠乏感がある。
だが、宇宙において人という小さな存在は常に欠乏感を持つものだから、達成で欠乏感を消すことはできない。

3.成長の思想:困難と格闘し、人間として成長しつづけていくことを成功と考える。
我々が様々な困難や苦労をこえて、人生を一生懸命生きるのは、競争で勝者となるためでも、目標を達成するためでもなく、人間を磨き、成長していくため。

勝者や達成の思想においては「困難」は障害であるが、成長の思想においては糧になるものであり、困難の意味は180度逆転する。

そもそもこの人生がいつまでも続くということはない。
だから「1日を生き切る」ことが大切である。
たとえ目的地にたどり着くことができなくても、どこまでも成長していこうという覚悟を定めて生きていくこと。
1日、一瞬を生き切ること。
そうすれば最期の一瞬に「すばらしい旅でした」と答えることができるだろう。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年8月13日
本棚登録日 : 2017年8月13日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする