パーマネント神喜劇

著者 :
  • 新潮社 (2017年6月22日発売)
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本棚登録 : 1315
感想 : 213
4

R3.1.29 読了。

 不思議なタイトルからは想像できない展開でした。
とある田舎町の派手な衣装を身につけた中年オヤジのような外見の縁結びの神様と銀行員や営業マン風の外見の謎の神様の助手がいる神社を訪れる男女の悩みに答えてくれる連作短編。神様と出会ったことは神様に会ったとき以外は思い出せない。また、神様の世界にも一番偉いとされる大神様や上級の神様が居たり、人間のように昇進を気にしたりと人間臭い神様が味があっていい。
 表題作のパーマネント神喜劇は、大地震が中年オヤジ風の神様がおわす神社を襲い、御神木が倒れ、社も倒壊して大ダメージを負ってしまう。神様の姿が見えず、うろたえ不安げな表情で倒壊した神社を見つめる神様の助手。この後、大神様がこの神社にやってくることになり…。ハラハラドキドキの展開もラストはユーモアで閉幕。そして、この中年オヤジ風の神様が神々しくかっこよくさえ思えてしまった。
 「来年も再来年も、そう百年後も、こうしてともに在ることができたらいいね。」と言ってくれる神様に会ってみたいですね。
 また、この本に「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」のかのこちゃんが四年生になって物語に登場したり、「バベル九朔」のビルの古レコード屋さんが男女のつき合うきっかけの場になっていたりしており、ちょっとしたオマケも嬉しかった。
 もっともっとこの世界観に浸っていたかったなあ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 作家名
感想投稿日 : 2021年1月30日
読了日 : 2021年1月29日
本棚登録日 : 2020年7月28日

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