滅びの前のシャングリラ (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社 (2020年10月7日発売)
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感想 : 1189
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R4.12.4 読了。

 「滅亡を前にした世界で『人生をうまく生きられなかった』四人が見つけた光とは」…帯より。

 あと一カ月で隕石が地球に衝突して人類が滅亡してしまう。そんな非日常の状況の中で、スポットライトのあてられた5人が織りなすドラマにこんなに引き込まれるなんて思わなかった。隕石が迫る最中で友樹君と藤森さんの関係性の変化や友樹君の死んだものとされていたお父さんの登場、信士さんの胸の刺青の女性がまさか友樹君のお母さんだったこと、そしてこの四人がひとつ屋根の下で生活することになり、非常時に幸せな家族となっていくなんて、とても素敵な展開に嬉しく思いました。
 でも、平和な世の中ならありえない日常。だからこそ、人はできることを精いっぱいやるしかないのかもしれませんね。
 この物語では、「エルドラド」友樹君のお母さんのところが一番印象深いですね。温かい家族はお互いを思いやる気持ちから生まれることをあらためて教えてもらいました。
 最後のLocoのところもとても印象に残りました。
Locoの歌を聞いてみたいとも思っちゃいました。
 凪良さんの本の中には、私の言葉に出来ない思いが言葉で表現されていて、代弁してもらっている、表現してもらっている部分が多くあって、とてもうれしかった。本当にこのような心情を表現できる凪良さんを尊敬しています。
 また是非、凪良さんのBL以外を題材にした作品を読みたいです。

 mashiyさん、良い本紹介して下さってありがとうございました。

・「人は食べたことがないものの味を知ることはできない。」
・「どんな利口な人間でも、やってみないとわからないことはある。」
・「暴力というカードにも裏と表がある。悪漢を叩きのめすのはいいが、老夫婦殺害は受け入れられない。そりゃそうだろう。けれどそれは善悪ではなく、自分が許せるか許せないか、自分の気持ちに添うか添わないかだけの判断で公正とはほど遠い。みんな勝手なもんだ。」
・「暴力はいつどこでふるわれてもただの暴力で、意味も理由もない。」
・「女の子を安心させてやれるのはいい男だ。」
・「愛情にも適正な距離というものがある。近づくほどに深まるものもあれば、離れているほうがうまくいくものもあり、憎んでしまうくらいなら手放したほうがいいこともある。」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 作家名
感想投稿日 : 2022年12月6日
読了日 : 2022年12月4日
本棚登録日 : 2022年8月10日

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