大杉栄評論集 (岩波文庫 青 134-2)

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  • 岩波書店 (1996年8月20日発売)
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われわれが自分の自我ーー自分の思想、感情、もしくは本能ーーだと思っている大部分は、実に飛んでもない他人の自我である。他人が無意識的にもしくは意識的に、われわれの上に強制した他人の自我である。
 百合の皮をむく。むいてもむいても皮がある。ついに最後の皮をむくと百合そのものは何にもなくなる。
 われわれもまた、われわれの自我の皮を、棄脱して行かなくてはならぬ。ついにわれわれの自我そのものの何にもなくなるまで、その皮を一枚一枚棄脱して行かなくてはならぬ。このゼロに達した時に、そしてそこからさらに新しく出発した時に、はじめてわれわれの自我は、皮でない実ばかりの本当の生長を遂げていく。

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感想投稿日 : 2022年12月22日
読了日 : 2022年12月18日
本棚登録日 : 2022年12月18日

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