人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」: 第三次AIブームの到達点と限界

制作 : 新井紀子  東中竜一郎 
  • 東京大学出版会 (2018年9月27日発売)
3.09
  • (5)
  • (3)
  • (6)
  • (5)
  • (3)
本棚登録 : 101
感想 : 10
5

東ロボPJの詳細な解説をしている書籍。
すでに東ロボPJは凍結してしまったが、このPJで取り組まれた内容が解説されており、非常に参考になった。

基本的にはセンター試験の各教科への対策と二次試験の対策という形だが、教科・問題の種類ごとに様々な読みとり方法とソルバーが用意され、その性能を改善していくさまはすばらしいなと感じた。

データサイエンス周りは私も勝手知ったところではあるが、やはり日本語を読み、その問題を適切に分類するという箇所は難易度が高く、そもそもの問題着手がしにくい部分が最大のネックだと改めて思った。

日本語解析の部分はNLPでもなかなか進まない部分であるため、この基礎研究部分の充実化が今後大事になりそう。


◆目次
序章 東ロボプロジェクトは何を目指したか
1 東大の入試問題を解けることの意味
2 東ロボプロジェクトの歩み

第1章 [各教科の取り組み]英語――言語処理技術の適用と深層学習の利用
1.1 学術的な位置づけ
1.2 アクセント・発音問題
1.3 文法・語法・語彙問題
1.4 会話文完成問題
1.5 不要文除去問題
1.6 意見要旨把握問題
1.7 未知語句語義推定問題
1.8 内容一致問題
1.9 段落タイトル付与問題
1.10 リスニング
1.11 イラスト問題
1.12 図表の読み取り
1.13 まとめと今後の展開
コラム ヒューリスティクス

第2章 [各教科の取り組み]国語――テキストの表層的情報に基づくアプローチ
2.1 センター試験「国語」の構成
2.2 学術的な位置づけ
2.3 現代文・漢字問題とその解法
2.4 現代文・評論読解問題とその解法
2.5 現代文・語句問題とその解法
2.6 現代文・小説読解問題とその解法
2.7 古文・文法問題とその解法
2.8 古文・内容理解問題とその解法

第3章 [各教科の取り組み]世界史――テキスト情報源への情報アクセス手法に基づくアプローチ
3.1 学術的な位置づけ
3.2 大学入試センター試験
3.3 2次試験
3.4 今後の課題

第4章 [各教科の取り組み]数学――深い言語処理と高速な計算代数の接合
4.1 学術的な位置づけ、模試の結果
4.2 2次試験・記述式問題の解法とエラーの分析
4.3 今後の課題
コラム 真理条件意味論

第5章 [各教科の取り組み]物理――シミュレータと図形描画を利用した力学問題の自動解答
5.1 学術的な位置づけ、模試の結果
5.2 力学問題をシミュレータで解く自動解答器
5.3 図形を含む静的つり合い問題の求解
5.4 まとめと今後の課題

終章 人とAIの協働で生産性は向上するか?
1 リーディングスキルテスト
2 機械翻訳と人との協働において生じるエラー分析
3 東ロボと機械読解

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 雑学
感想投稿日 : 2020年5月6日
読了日 : 2020年5月6日
本棚登録日 : 2019年1月13日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする