ナイトフォール(上) (講談社文庫)

  • 講談社 (2006年9月16日発売)
3.32
  • (4)
  • (8)
  • (21)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 86
感想 : 12
3

題名の意味は『黄昏』。物語の結末にあの事件を持ってきたこの作品にはそれがよく似合う。

今回は1996年に起きたTWA800便の旅客機が墜落した事故の一部始終を収めたと云われるビデオテープの在り処とそれを撮った不倫カップルを捜し当てるのがメイン・テーマとなっている。
確かにジョン・コーリーのへらず口は健在で、ページの捲る手がクイクイ進むのだが、物語の牽引力としては設定がいささかパワー不足。
今回もデミルは冒頭の第一部で不倫カップルが存在する事、そしてその撮影にいたる顛末を事細かく描いており、ジョンがそのカップルになかなか行き着かないのに非常にやきもきさせられた。
私は当初この展開で物語が始まった時に、ビデオテープと当のカップルは上巻で見つかり、下巻をそのテープの争奪戦が色濃く描かれる物だと思っていたが、結局、ジョンがカップルの片割れ、ジル・ウィンズロウに辿りつくのは下巻の中盤で、それ以降は派手派手しい争奪戦というより、宿敵ナッシュとの諜報戦となり、「動」よりも「静」の闘いといった展開で期待外れだった(そうそう、宿敵ナッシュが前作『王者のゲーム』で撃たれて死んだと思っていたのに生きていたという展開もベタ過ぎてガッカリ)。
(下巻の感想に続く)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ&エンタテインメント(海外)
感想投稿日 : 2023年2月17日
読了日 : 2023年2月17日
本棚登録日 : 2023年2月17日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする