機密費 (集英社新書)

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  • 集英社 (2001年8月17日発売)
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森政権〜第1次小泉政権あたりに世間を賑わせた機密費の話。当時は、世の中には表沙汰にしてはならない事柄は多々あるものと受け流していたが、本書を読んで、この話題は2つの問題をはらんでいる事がわかる。1つめは、機密費という名目が、単なる裏金作りの道具になっていること。政局や選挙や外遊の場面で、かなりの額を身内で浪費しているようだ。もう一つは、本来の意味での機密費(公式には、機密費なる費目は存在せず報酬費と云われる)を充当すべき活動 ーーー つまりインテリジェンス行動が、我が国において極めて曖昧に済まされている事。戦力を持たずに、透明な政治・外交を建前にすると、機密の国家活動はあり得ない論理が成立するが、そんな訳が無いのが現実世界な訳で、この矛盾を何とかせねばならない。小泉さんの時代が、既に古き良き歴史の領域に入りつつあり、機密費云々で騒いでいられない世の中になったが、領土問題やTPP交渉など、真の国益に向けた「機密費」の活用局面は多分にあるはずだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書 人文系
感想投稿日 : 2011年11月12日
読了日 : 2011年11月12日
本棚登録日 : 2011年11月5日

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