本は好きだが、もっぱら文庫本か新書なので、装丁の拘りや美意識はあまり気にしたことがない。しかし本書では、そうした本の外見の装いに飽くなき拘りをもち挑戦し続けた人物たち--- デザイナー・画家・イラストレーター・編集者・そして本の著者自身 ---- の仕事っぷりが紹介される。著者自身が業界の内側にいる人なので、専門用語の多用や暗黙の前提知識の要求が鼻につくが、仕事人とその作品の価値は十分伝わってくる。
「装幀はいうならば文化を盛る器である」という言葉が印象に残っているが、実際は作品を読み、解釈したうえで、装丁を表現するという。特注で専用の器である。今の時代、ちょいと奇抜な装いの単行本を見ても、あまり驚きはしないが、それを最初に思いついて実行に移した仕事人たちがいたということは覚えておこう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
新書 芸術系
- 感想投稿日 : 2012年9月25日
- 読了日 : 2012年9月25日
- 本棚登録日 : 2012年9月9日
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