ジンメルのエッセーを、主に女性論・生活風景論・美学論・社会論という視座にしたがって訳出・編纂している。各エセーには強い主張はなく、それゆえに曖昧とも言えるが、彼の扱う対象に即して言えばその曖昧さは対象そのものに由来すると捉えられるだろう。水差しや橋、扉といったものを哲学的に思考するのに、単純明快さを求めるのはいかがなものか。その点で、訳者解説でも紹介されているようなジンメルに対する批判は的外れなものである。そしてこうした珠玉のエッセーが、ユダヤ人であるジンメルによって書かれていることやベンヤミンに影響を与えていることを考えると、ジンメルの面白さはなお際立つ。
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- 感想投稿日 : 2012年3月23日
- 読了日 : 2012年3月23日
- 本棚登録日 : 2011年7月2日
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