よき経営者の姿

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  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2007年1月1日発売)
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プロローグのタイトルが、「社長ごっこはもうやめよう」。のっけから
財津一郎の有名なギャグを思い出させる、ヒジョーにキビシーイ
お言葉です。

第一章のタイトルは、「顔つき」。これもゴメンナサイと言いたくなる
タイトルですね!
名経営者は、「深い素朴さ」「柔らかい強さ」「大きな透明感」という
共通の顔の特徴があり、こうした特徴を顔に刻むのは、本人の思考、
決断、感謝である、と論じています。

第二章は、「仕事」。経営者が果たすべき役割は、「リーダー」「代表
者」そして「設計者」。そして、それぞれの条件として、「人格的魅力
とぶれない決断」「結果への責任感と社会への倫理観」「戦略眼と組織
観」を挙げています。更に、これらを受けて、経営者の最大の役割は、
「経営理念の策定者・伝道者」であること、としています。
そして、経営者は富や名誉、時間を「分配」する、人を「教育」する、
事業の意味や企業の存在意義、仕事の意義を考え「哲学」する、という
3つの顔を持っている、とのこと。

第三章は、「資質」。よき経営者は「エネルギー」「決断力」「情と理」
という普遍的な資質を持ち、組織のおかれたステージ毎に第四の資質が
加わると説明しています(企業時は「構想力」、変革時は「切断力」、
推進時は「包容力」)。逆に、悪い経営者の性癖は、「私心が強い」
「人の心の襞がわからない」「感情的にものを考える」「責任を回避す
る」「細かい事に出しゃばる」とのこと。痛ッ・・・。

その他、「育ち方」「失敗」「退き際」など、よき経営者として、ある
べき姿が語られています。経営者は、リーダーとして、代表者として、
ふさわしい器量をもたねばならない、ということですね。

プロローグにこんな表現があります。社長に限らず、管理者のはしくれ
として、「社長」を「管理者」に読み替えて捉えると、とても染みる
言葉だなぁと思います。

「社長たちに望みたいのは、とにかく自分の頭で考え抜いてほしい、
 ということである。そして、考えぬくだけの時間をきちんと作って
 欲しい。考えるための体力を温存して欲しい。考えるための思考の
 枠組みを自分でもつよう自己修練をして欲しい。そして、考え抜く
 ためのもっとも重要な情報は現場にあると思って欲しい。
 もし自分の頭では考えられないと思ったら、信頼できる参謀を作る
 べきである。それもできなければ、潔く退くべきである。そうでな
 ければ、社長の判断で運命を左右されてしまいかねない従業員たち
 は、とても浮かばれない。
 誰を社長とするのかも、当たり前のことだが、じつに大切なことで
 ある。社長には、それに相応しい人を据えなければならない。社長
 ごっこをやっている余裕は日本企業にはないはずである。」

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感想投稿日 : 2012年12月10日
本棚登録日 : 2012年1月6日

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