鴨さんの文章のすごさをあえて野球の投手で言うなら「球速はとくに早くないけど、ボールのコントロール精度が尋常じゃない」ということのような感じがします。
本作は1つ1つの話は数分で読める程度の長さしかないですが、どれも必ずと言っていいほど「ちょうどいい」という印象を与えられます。長すぎたり短すぎたり、という感じもなく、テンポも、読み物としての展開も、全てにおいて。
短い話がいくつも連なっているからこそ、それが偶然などではなく「完璧にコントロールされている」ということがよくわかるのです。
飄々とした文体で、いかにもすごいぞという感じに見えないのにいつの間にか引き込まれている、というところは武術の達人っぽくもありますね。なんとも形容し難いすごさです。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年9月16日
- 読了日 : 2022年9月16日
- 本棚登録日 : 2022年9月13日
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