実はところどころで微妙に引っかかる部分もあったけど、一気に読み終えての感想はやっぱり☆5にしたい。
舞台はポーランドの都ワルシャワ。
権威ある国際ピアノコンクールであるショパンコンクールが開催され、我らが岬先生もコンテスタントとして出場します。
岬先生の出番は思いの外少なくて、ポーランド人のヤン目線で物語は進んでいくのだけどね。
高い音楽性とショパンへの情熱で全力の戦いが繰り広げられる一方で、市内では爆発テロが頻発して、ついにはコンクール会場でも殺人事件が起きてしまう。
何ともスケールの大きなミステリーだったりもします。
コンクールのファイナリストたちはいずれも個性のある弾き手たちで、ショパンの解釈も奏でる旋律も色とりどり。
予選を1次2次と勝ち進んでいく白熱具合は、読んでいても緊張感が昂ります。
ミステリー部分はちょっと突っ込みたくなる感じもあったけど、物語を盛り上げる舞台装置的要素としては悪くないし、完全にメインはピアニストの矜持とそのぶつかり合いだものね。
ワルシャワが舞台というのがなんともいえずよかった。
アウシュビッツへ行くために半日ほど滞在しただけだったけど、駅前のスターリンビル禍々しい印象と、かわいらしい旧市街地は大戦で破壊され再現されたものという事実が思い出されます。
歴史に翻弄された土地だものね、不屈の国民性というのもうなづけます。
ショパンのノクターンと云えば、浅田真央ちゃんが今シーズンのSPで使用した曲。
すぐにあの美しい旋律が再生されて、わたしも癒されました。
- 感想投稿日 : 2014年4月6日
- 読了日 : 2014年4月6日
- 本棚登録日 : 2013年4月10日
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