ホラーのカテゴリにしてしまうと、構えてしまうかもしれない。この本を初めて読む人は、そこまで構えなくてよい。ワタクシの場合「純文学書きおろし」という宣伝文に完全にだまされたクチである。
放送作家とジャーナリストが「架空の怪物」を作り上げていき、それが本物になり、作った当事者を襲い始める。怪物は架空の人物なのか実在の人物なのか、それに憑依した何かなのか、はたまたそこを取り巻く大衆心理なのか。襲ってくる恐怖も見えるものから見えないものになっていくあたり、現在のネットを絡めた話ではないかと錯覚する。
オウム真理教事件より3年前、ましてやインターネットが出来るよりも5年ほど早く、こういう恐怖を描いているところは特筆に値する。メディア論だの世代論だのを論じるのは野暮である。「怖くて面白い本」として読めばよいのだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ホラー
- 感想投稿日 : 2015年1月10日
- 読了日 : 2015年1月9日
- 本棚登録日 : 2015年1月10日
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