貧困と飢饉

  • 岩波書店 (2000年3月22日発売)
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感想 : 14
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ノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・センの著書。飢饉の原因分析を食料供給量の減少(Food Availability Decline: FAD)ではなく、交換権原の悪化によるべきと主張する。
センが示した地域全体の食料供給が減少しなくとも食料価格の上昇や失業といった交換権原の悪化によって飢饉が発生しうるというのは当時としては画期的だったのだろう。飢饉に対する解として物資の直接支援ではなく、雇用の創出や社会保障の実現といった経済的なアプローチを提示していることは今日においても意義があると思う。
ただ、個人的には交換権原の概念を導入しなければこの結論を得られないのかは疑問に思った。飢饉の発生には、交換権原という個人の潜在能力ではなく、低開発国の社会的条件に本質的な問題があるような気がしてならない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経済
感想投稿日 : 2018年11月14日
読了日 : 2018年11月14日
本棚登録日 : 2013年7月13日

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