ゆゆのつづき

著者 :
  • 理論社 (2019年10月16日発売)
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本棚登録 : 157
感想 : 21
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心に溢れてくるもので胸がいっぱい、素敵なことが起こると信じていた『いちばんわたしらしいわたし』と思えた11歳のゆゆ。
失望することをおそれ心の内を沈める大人になった57歳の由々。
忘れていたあの夏の日と今が繋がることで、11歳のゆゆが今の由々の中につづいている、今の『私らしい私』に気づいていく。
その夏、ゆゆも由々もどちらも痛みを伴う経験をしながら、忘れられない時を過ごした。2つの夏を繋ぐ魔法。
その魔法のかけ方がなんとも素敵だ。
ピアノの旋律、朝の空気の匂い、黄の花のワンピース、本…世界の描き方がしっとりと美しい。
高楼方子さんの絵本や児童文学で描く子どもや少女は等身大で愛らしい。初の文芸作品だという『ゆゆのつづき』では、高楼さんの描いてきた少女の愛らしさを内に秘めた大人の女性に出逢えた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年1月10日
読了日 : 2020年1月10日
本棚登録日 : 2019年11月7日

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