検死審問ふたたび (創元推理文庫 M ワ 1-2)

  • 東京創元社 (2009年3月20日発売)
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感想 : 19
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本書は検死審問の続編的位置づけである。
前作と同じように、検死官と陪審員らがある事件に対してああだこうだと意見を述べていく。
事件の証言者はことあるごとに召喚され、あるものはてきぱきと、あるものは冗長に。法廷という、ともすれば堅苦しいと言うイメージを持ちがちな場所で、証言者達は好き勝手に(検死官が許す限り)証言していく。
前作のレビューでも、喜劇性がどうのと書いたが、本作も喜劇性にあふれる。

今回の事件は、ある作家の焼死事件である。普通であるならば、失火で片付けられる事件であるが、検視官リーはある噂から検死審問を開く必然性を見出し、半ば強引に検死審問をスタートさせる。

前作同様、小さな伏線も大きな伏線も、大胆にただしさりげなくおかれ、終りにかけてまとめてくる手腕は多少個人的な掛け値があるかもしれないが、賞賛に価すると思う。
ぜひぜひ読んでもらいたい本であるし、少しばかり時間をおいてから、再読をして欲しい一作でもある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 蕗屋
感想投稿日 : 2010年4月11日
読了日 : 2010年4月11日
本棚登録日 : 2010年4月11日

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