シエナを愛する歴史学者がシエナを愛するがゆえに、シエナへの愛を心の限り綴った、シエナ讃歌。
しかしそこは歴史学者、アカデミックな内容を想像よりも濃く盛り込んでおり、加えて無味乾燥な事実の羅列になりがちな編年体の記述を捨てて、今のシエナから過去を紐解いてくという、全編にわたって読み手を飽きさせない構成をとっている。
この書を読み終える頃、読み手はなんとなく、おぼろげながらシエナをわかった気になり、読む前よりは確実にシエナを身近に感じることになるだろう。
この書の読者にシエナの歴史や文化を緻密に、正確に学ぼうとしている人がどれほどいるのか、ということを考えれば、このおぼろげ、なんとなく、が非常に重要なのである。つぎのステップに進むには非常に良い加減なのである。
シエナを本当に学びたくなったら、この書を元にさらなる知識を求めたらいいし、巻末の参考文献の一覧など、さらなる知識への道標は随所に記されている。
そしてこの書を片手にシエナを訪れれば、ガイドブック片手のおきまりな観光よりももっと深いシエナと出会うことができるに違いない。
私は1週間後、この書を片手に2回目のシエナに立つ予定である。
さて、今度はのんびりとフォンテ巡りでもしようかな?
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2011年8月27日
- 読了日 : 2011年8月23日
- 本棚登録日 : 2011年7月12日
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