この本の大きな魅力は、谷川浩司さんが自信の気持ちを率直に語りどのようにして多くの試練ともいえる状況を克服してきたか、ということが読者にとてもよく伝わり共感できるということだと思います。羽生さんとのライバル対決、嫉妬、焦りなど、持ちたくないけど抱いてしまう辛い感情と彼は長い間対峙しないといけませんでした。それを克服するのは容易ではなかったしまた時間もかかった様ですが、今ではその感情をいい方向へ転換しさらなる発展を遂げられています。私がもっとも勇気づけられた部分は、谷川さんが羽生さんとの対局で負けて暗い気持ちになっていたときに主催者の方が言われた言葉でした。「谷川さん、朝が来ない夜はないですよ。」そこまではよく聞く内容ですが、それに続けて「夜明け前というのは、実は一番暗いんです」というところです。この言葉は自分にもとても響きました。様々な辛い状況を克服することは時間がかかります。でもいつかは夜明けが来る、それを辛抱強く待つんだ、という気持ちになりました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2011年8月21日
- 読了日 : 2011年1月16日
- 本棚登録日 : 2011年8月21日
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