先日『あん』を読んで興味を持ったドリアン・助川さんの小説です。
ニューヨークを舞台に、ミュージシャンを目指す日本人男性・拓人と韓国人女性・ユナの恋を描いた作品です。
中盤までで印象に残るのは、ニューヨークの街の見事な描写です。そして人種のるつぼであるニューヨークで、人々の普段の姿のすぐ裏に潜む人種や歴史観に基づく偏見や憎悪です。助川さんの来歴を見ると「2000年3月から2002年9月までニューヨークに滞在。日米混成バンドAND SUN SUI CHIE(アンド・サン・スー・チー)を結成し、ライブハウスで歌う。」と書かれているので(時期は少しずれていますが)実体験を反映した物だと思います。私も海外の人との付き合いは有りましたが、その中ではあまり感じた事は無く、そんなにもあるのか?強いのか?という印象です。逆に言えば私がそこまで深く入り込めなかったという事なのでしょう。
そしてエンディング。9・11。
物語はどこか暴走し、拡散したような印象です。何かを伝えたかったのだというのは判るのですが、それが何なのか捕まえられないもどかしさが残りました。
読書状況:読み終わった
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一般
- 感想投稿日 : 2018年10月3日
- 読了日 : 2018年10月9日
- 本棚登録日 : 2018年10月3日
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