チェーン・ピープル

著者 :
  • 幻冬舎 (2017年4月20日発売)
3.27
  • (11)
  • (22)
  • (41)
  • (10)
  • (5)
本棚登録 : 224
感想 : 34
3

ライターの私が6人の人物を訪ねる短編連作集。
1)「正義の味方」――塗り替えられた「像」
2)「似叙伝」――人の願いの境界線
3)「チェーン・ピープル」――画一化された「個性」
4)「ナナツコク」――記憶の地図の行方
5)「ぬまっチ」――裸の道化師
6)「応援」――「頑張れ!」の呪縛
例によって不思議な設定です。1)ではウルトラマンが実在する世界を、3)は平田昌三という人格を演じる結社を、5)では着ぐるみを被らない”ゆるキャラ”が描かれます。その当たりは如何にも三崎さんらしく、皆さんの評価も結構高いようです。
でも、私が期待する三崎さんではありませんでした。

三崎さんお得意のとんでもない背景設定は、よく風刺小説に使われるようなものです。しかし、そこに描かれるのは風刺では無く、「滅亡」の寂寥感・寂寞感や独特の「滅びの美学」なのです(コロヨシのようなスポ根ものもありますが)。でもこの作品は、なんだかいつもよりかなり風刺的、教訓的なのです。特に最後の「応援」などは現実的設定でネット世界の怖さを描いており、三崎さんらしくないな、と。
まあ、その方が一般受けするだろうとは思うのですが。。。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 一般
感想投稿日 : 2018年6月23日
読了日 : 2018年6月23日
本棚登録日 : 2018年6月23日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする