魔法の扉がしまるとき (6)

  • 平凡社 (2019年9月27日発売)
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感想 : 8
4

最終巻はいつもよりうんと発刊が早かったですね! 読んだら完結してしまう、と思うとなかなか読み進められませんでしたが、感想をつらつら書いていきます。

まず、しょっぱなから未来。コナーの80歳の誕生日から始まります。つまりは本編では無事と言うことですよね。ある意味ネタバレ。

本作は敵の手中に捕らえられたアレクシス
鏡の中に囚われたフロッギー
アレクシス救出に立ち上がるコナーと仲間たち
魔法の出現を目の当たりにするニューヨークの人々

と言うそれぞれの視点で構成されており、少しずつ話が進みます。レッドの存在が清涼剤です。私の中では堂々のヒロイン。

鏡の中のパートで、フロッギーが鏡の中で出逢った少女が外見コンプレックスを抱えた女性を叱咤激励する場面があるのですが、私はこの励ましでは元気でないな、と思っちゃいました_:(´ཀ`」∠):_
コンプレックスを受け入れるまでは良いとして、それはそれとしてあなたは美しいと言ってもらいたいですよね。見た目なんて関係ないわ! って言われると、じゃあやっぱり私見た目悪いんだ……ってなっちゃうんですけど。私だけ? 筆者が男性だからなのかな。ゲイとは言え、そこは女心とちょっとズレてるかなぁなんて思ったりしました。
でもまあ、ずっと気に掛かっていた登場人物が独り救われたのは嬉しかったです。

セントラルパークにかけられた時間の魔法。
泡の中の時間がゆっくりなんですよね? 外の世界は何倍かの速度で進んでいる。そうなると中の人からしたら外からやって来る人が遅く感じると言うのがうまく呑み込めず。逆に一瞬で来たように感じるのでは? フラッシュみたいな感じで。そして内側の人たちは何故それを知ったんでしょう。不思議。泡の外の月日の昇り沈みは見えてるってことなのかな。

そしてメデューサの登場。神話の通り、被害者としての面が描かれており、ちょっと嬉しかったです。これまでメデューサには同情的な想いを抱いていました。それを言ったらアラクネに対してもそうなのですが。神の嫉妬は恐ろしいです。神のいないおとぎの世界で幸せになって欲しい。

しかし。石化の呪いを解いた際に、状況説明のためとは言えフロッギーがメデューサのことを“怪物”と称したのはちょっとショックですね。その辺りの誤解も解いてあげて欲しいところ。

アーサー王vsルーク。
物語としてはアーサー王の勝利なんでしょうが、私は本作に限らずアーサー王と言う人物がどうも昔からあまり好きになれず、やはり本作の彼もイマイチ移入できずにいます。ルークの一度の裏切りでこの風向きの変わりよう。そちらによほど同情してしまうのですが。筆者は初恋相手に苦い想い出でもあるのかしら、と勘繰ってしまいます。それこそ許せない裏切りとか。

ピーター・パンがウェンディと出逢ったロンドン。当時まだ飛行機って発明されてませんでしたっけ。原作は1904年。飛行機の初飛行は1903年。なるほど。そう考えたらあまり矛盾はないかも? どうなんだ?

扉の薬、本当に便利ですね。欲しくなっちゃいます。物書きなら尚更でしょう。自分で書いた物語の世界に入れる。しかも、物語でなくとも書いただけで扉が開く。亡くなった人にも逢える。凄すぎませんか。

レッドとフロッギーが無事再会できて良かったです。本作中、一番好きなカップル。

死亡フラグはやはり死亡フラグでしたね。償いとしては重過ぎる。使命って何だろう。彼を突き動かしたその罪悪感すら、結局はヴィラン達のせい。被害者ですよね。

フック船長の弱点は“手”と言うことでしょうか。
それはそうと、ブリスワーム、第二形態が悲しすぎます。イモムシに戻ってくれ頼む……!! ベビー・グルートの反抗期化と同じくらい淋しいです。

トロルベラにもついに春が訪れて良かった良かった。
憎めない子なのでどうか幸せになって欲しいです。
最愛のレッドの活躍と結婚式。私の中ではここがピークですかね。ほんと、レッドは憧れのキャラクターです。レッドみたくなりたいなぁ。

最後は猛スピード展開でしたけど、落ちるところに落ちたと言いますか、物語らしい締めくくりで淋しいけれどまだまだ終わらない幕引きで余韻が残りますね。
エメリッヒが登場しなかったのがちょっと残念です。
前作でエメリッヒの物語は一度蹴りがついてるってことなのかな。

ブリーは仕方ないのかな。ブリーが現在なら、きっと記憶云々の問題を書けていないし。だけどやっぱり淋しいです。

シリーズ映画化が待ち遠しい。実現しますように。更に言えば、良作として実現しますように!!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年11月9日
読了日 : 2019年11月9日
本棚登録日 : 2019年11月7日

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