永遠も半ばを過ぎて (文春文庫 な 35-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (1997年9月10日発売)
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本棚登録 : 1411
感想 : 122
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私の中にも成仏してない言葉があるんだろう。きっと。

これ、男の人は大好きなんだろうな。


波多野善二、相川真、宇井美咲の三人による一人称多視点による小説。

いきなりよく分からない用語の羅列に始まる。
ひたすら無意味な文字の羅列にひとつのセンテンスが数ページにも及ぶことがあるかと思えばひらがなの多用など、読ませるテクニックもすごい。

視覚、嗅覚、痛覚に訴えてくる表現。
スピード感、疾走感。痛快でいて切なくロマンチック。総じてめちゃくちゃ、ドタバタ、酩酊、ドラッグ、なのに美しい。

エンタメ要素を見事に文学的表現に落とし込んでいる、めちゃくちゃ面白いのに、まるで額装して飾りたいような心を鷲掴みにされる美しい言葉が並ぶ。そのバランス感覚もすごい。

なので「とんでもありません」という言葉をなぜ出版社勤めの美咲に言わせているのかが少し解せない。


装丁とタイトルがあまりにもかっこよくて、自分でハードルを上げていないか心配だったけど何も知らずに読んだため、とてもいい意味で杞憂に終わった。

エッセイのイメージが強い中島らもさんだったけれど、これから色々読んでみたいと思えた。

このいれかたで、インスタントコーヒーを飲んでみようか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年7月28日
読了日 : 2022年7月28日
本棚登録日 : 2022年7月27日

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