夏を殺す少女 (創元推理文庫)

  • 東京創元社 (2013年2月22日発売)
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(No.13-16) ミステリです。

内容紹介を、表紙裏から転載します。
『酔った元小児科医がマンホールにはまって死亡。市会議員が山道を運転中にエアバックが作動し、運転を誤り死亡。どちらもつまらない案件のはずだった。事故の現場に、ひとりの娘の姿がなければ。片方の案件を担当していた先輩弁護士が、謎の死を遂げていなければ。一見無関係な出来事の奥に潜むただならぬ気配。弁護士エヴェリーンはしだいに事件に深入りしていく。
一方ライプツィヒ警察の刑事ヴォルターは、病院での少女の不審死を調べていた。オーストリアの弁護士とドイツの刑事。二人の軌跡が出会うとき、事件がその恐るべき真の姿をあらわし始める。

ドイツでセンセーションを巻き起こした衝撃のミステリ登場!』

何人も死んでる事件が、片方は事故死、もう一方は自殺、であっさり片付けられそうになってて・・・・。
日本でも現実に、保険金詐欺事件などで殺人だということが分かって、さかのぼったら何人も殺されてたという事件がいくつも報道されてますね。
どこの国の警察でも面倒な捜査はしたくないから、事件じゃなくて事故、殺人じゃなくて自殺、で片付けたいという雰囲気があるのかな?
エヴェリーンはそんなの弁護士の仕事じゃない、ヴォルターはそれを調べるのは地方刑事の仕事じゃない、とそれぞれの上司から厳しく咎められます。
でもどうしても納得できないので暴走していく二人。何もなしでこの暴走状態だと違和感があったかもしれませんが、話の合間にちらちら出てくる彼らの過去があるため、自然な流れとして受け入れることが出来ました。

エヴェリーンとヴォルターの話がそれぞれ無関係のように進んで行き、いつこれが同じ事件になるのかなあと興味津々で読みました。
だって地続きとはいえ、別の国なのに。ただオーストリアとドイツはどちらも公用語はドイツ語なので言葉の壁は全くありません。
エヴェリーンが国際電話をかけなければいけなくなったあたりから、いよいよだわ~と期待が高まりました。

不満というか突っ込みどころとしては、こんなに簡単に殺人って出来るの?っていうことかな。犯人の思い通りにうまく行き過ぎてるんだもの。
こういう話のパターンとして、出合った二人が協力して危機を乗り越えそして愛が芽生えるというのがあります。今回もそうなのかなと思ってたら、うまく外してくれてなおかつ良い感じだったの。パターンどおりじゃなかったことが逆に良かった!

悲惨な事件ではありましたが、読後感はそれなりに良かったしとっても面白かったです。

幅の広いエルベ川、ハンブルグ空港とか、行ったことがある土地のことが出てきてなんだか嬉しかったです。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ(海外)
感想投稿日 : 2013年3月24日
本棚登録日 : 2013年3月24日

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