藤崎竜『封神演義 3』は仲間を探す旅の続きである。雷震子が登場する。卑怯なことを嫌う性格は好感が持てる。もっと活躍しても良かったキャラクターである。
この巻では封神の謎が一部明らかになる。改めて読むと元始天尊はかなり腹が立つ人物である。真実を説明しない。封じ込めた相手を最後には利用する。その行為は聞仲を空間に閉じ込め、戦いが不利になると出した十天君と同じである。
昭和時代ならば指導者として通用したかもしれないが、説明責任が重視される現代では指導者失格である。最初から説明していれば拒否されたり対策されたりする事実を説明せず、なし崩し的に進めようとする。このようなタイプは東急不動産消費者契約法違反訴訟原告、マンションだまし売り被害者として最も許せない(林田力『東急不動産だまし売り裁判こうして勝った』)。
救いは太公望が元始天尊の意図を忖度して都合よく動く優等生キャラではないことである。封神リストの人物を倒さないことも太公望の単なる優しさではなく、思い通りに動かないという意思と見ることができる。また、物語終了後の太公望の行動も元始天尊と縁を切りたい、関わりあいになりたくないという切実な思いがあったと言えそうである。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
マンガ
- 感想投稿日 : 2019年12月21日
- 読了日 : 2019年12月21日
- 本棚登録日 : 2019年12月21日
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