冤罪・警察不祥事と暴対法 (おかしいぞ! 暴力団対策)

  • 同時代社 (2013年4月8日発売)
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宮崎学、田中森一、川口和秀、松井武、照屋寛徳『冤罪・警察不祥事と暴対法 (おかしいぞ! 暴力団対策) 』(同時代社、2013年)は警察の問題を取り上げた書籍である。冤罪や警察不祥事が相次ぐ警察の実態を明らかにする。暴力団対策の名目で警察権力が強化される状況を問題視する。
冤罪や警察不祥事は、どれほど罵っても飽き足らない。そこには一かけらの道理もない。その背景には身内にはとことん寛容で、優しく、甘く、それ以外にはどこまでも冷淡で、冷酷にも、残酷にもなれるグロテスクな体質がある。身内への甘さと市民に不便を強いる公務員流の融通のきかなさは表裏一体である。
警視庁OBの男性非常勤職員は「違反者が警察官であったのであれば、警察官の公務中の交通違反は見逃すべき。自分は現役中に2回見逃している」とのトンデモ主張を行った(「“警察官の交通違反は見逃すべき” 「トンデモ持論」で警察官が交通違反もみ消し依頼」FNN.jpプライムオンライン2019年3月18日)。天下りの害悪は古くから指摘されているが、雇用延長も害悪である。日本型組織よりも、英米流のルールに即したドライさの方が平等であり、公正になるだろう。
パワハラ体質も問題である。独善的な正義感を振り回し、迷惑をまき散らす。俺の言うことを聞かないからむかついた。ただ、それだけである。都合の悪いルールを無視し、勝手に不文律を付け加える。私情とルールの区別がすらつかない。目の前の火を消すことしか考えず、目の前の問題解決に全員一致で頑張ることを美徳と勘違いする。そのために警察不祥事に大ナタをふるえない。
警察不祥事は老害を感じる。勿論、若年層の警察官の不祥事も多い。埼玉県警では草加署刑事課巡査が急死した男性の遺族から約82万円をだまし取るなどした詐欺事件が起きたが、この巡査は22歳であった。年齢は関係ない。昭和の日本型組織の栄光にしがみつく。老害そのものである。隠蔽体質に染まっている。処罰しなければ、上に情報を上げないことが正解になってしまう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2019年12月19日
読了日 : 2019年12月19日
本棚登録日 : 2019年12月19日

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