白暮のクロニクル(1) (ビッグコミックス)

  • 小学館 (2014年1月30日発売)
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感想 : 10
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ゆうき まさみ『白暮のクロニクル』(はくぼのクロニクル)は、オキナガ(息長)という不老長寿者が存在する日本を舞台とした漫画である。しかし、オキナガの謎に迫るというより、オキナガを道具として人間を描く要素が強い。同じ著者の『機動警察パトレイバー』も人型ロボットの漫画であったが、ロボットバトル以上に企業の陰謀や公務員組織の機能不全が描かれた。本作品も公務員組織の責任逃れやセクショナリズムが描かれる。
最初は冤罪が描かれる。警察の見込み捜査で冤罪が生まれる。一度目をつけたら、疑い続け、任意の事情聴取名目で相手の生活を妨害する警察の嫌らしさが描かれる。ドラマ『99.9 刑事専門弁護士』でも冤罪事件の真犯人は警察官であった。「まず警察官を疑え」が常識になるかもしれない。
警察不祥事と言えば組織的構造的な問題を先ず頭に浮かぶ。それは重要な問題であるが、それは若い警察官を組織の被害者のように見てしまう弊害がある。しかし、埼玉県警の警察官の詐欺のように若い警察官が警察犯罪の主体になる。埼玉県警草加署巡査(22)は死体検案名目で遺族から現金82万円をだまし取った。埼玉県警川越署巡査(25)は遺族に遺体の防腐処置費用として現金50万円をだまし取ろうとした。
警察官が半グレ・ヤンキーと個人的な繋がりを持ち、その利益のために行動することもあるだろう。これらも民間感覚では当たり前のガバナンスが機能していない組織の問題であるが、末端の公務員は真面目という昭和的な感覚は誤りである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ
感想投稿日 : 2020年1月26日
読了日 : 2020年1月26日
本棚登録日 : 2020年1月26日

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