サンデル教授、評価が高いのと、「これからの正義~」に途中で読み飽きちゃったので取り急ぎ311関連のだけ読もうと思って購入しました。
個人的にはプロフェッショナルに対しての責任と職業観、インセンティブシステムの代価を『金/名誉』のどちらが(その社会にとって)望ましいかという議論に対しては興味深く思いました。
日本の原発作業員に対して、スペイン皇太子賞が送られたという報道を2011年秋に目にしましたが。日本としては原発作業員が「悪玉側」とラベリングされている電力会社の人であるということで世論が非常に敏感であること(メディアが煽っているだけともいえますが)、加えて国(特に皇室)からの名誉の授与はWW2こと大東亜戦争の「紙切れ一つで召集されて、お国のために死ねと命令するのか」的な文脈で(民主党政権ということもありますが)お金にしても名誉にしても彼らに十分に報いる公的な方法というのは少しハードルが高くなっているのではないかな、と思ってしまいます。
この状況が良いか悪いか/いつまで続くかという話だけでもわが国にとってはなかなかに意義深い議論なのではないかなと思います。。
ここからは余談。
教授の考え方や理想とする世界・社会のあり方というものが合って、それに合致していくように聴講生をモチベートし、褒めて違いを引き出すという手法は大変参考になりました。2011年現在の日本で言うところの「池上アキラさん」的な方法でもあり、もっと古典的な例を出すと「労組やら学園闘争の『オルグ』ってこんな感じだったんだろうな」と思わせる感じで何とはなしに危険な気分になってしまいます。
あまり好みではない現実的な問題については「まだここについては結論がでていない」というスタンスで保留して別の話題に持って言ったりすると勝率100%になってしまう訳で、それでいいのかなー、もう少し言葉を変えると「権威」の側に立つ人のやり方としてのまさに「正義」「倫理」が問われるやり方なんじゃないかと愚考した次第。
- 感想投稿日 : 2011年9月25日
- 読了日 : 2011年9月25日
- 本棚登録日 : 2011年9月4日
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