対話篇 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2008年6月30日発売)
3.72
  • (226)
  • (391)
  • (399)
  • (47)
  • (12)
本棚登録 : 2560
感想 : 314
5

『対話篇』 金城一紀      講談社

もともと金城さんは好きでしたが、これはタイトルから、難しい物を連想してしまい、読んでいませんでした。想像していたのと全く違って、しみじみと良い作品でした。

3つの物語が入っているのですが、どれも引き込まれ、特に最後の「花」は、切なくて鼻の奥がツンとしてしまいました。

一つ一つの話に浸ってしまい、どれも「恋」の話なのに、何でタイトルが『対話篇』なんだろう?と訝しく思う鈍い私。一晩たってから、3つの話が、全て二人の男性の「対話」で成り立っている事に思い至り、納得しました。

それぞれに、死と生、男と女、運命を考えさせられる話でしたし、内2篇に、レコードのセンターラベルに《UNbreakable》とシールが貼られているにも関わらず、それが割れる話が出てきたのも、何か象徴的でした。

これを読んで、対話とは男同士の物で、愛し合う男と女に必要なのは、手を離さないで居続ける事なのかも…。と思わされました。

金城さんの書く人物の言動に、いつも心臓を締め付けられる様な愛着と憧憬を感じるのは何故なのでしょう。どうしてこんなに心惹かれるのでしょうか。私の場合、それが異性に対する憧れでは無く、自分が男なら、男に生まれていたら、と言う強烈なシンパシーを伴う物として迫って来るのです。

金城さんばかり読んでいたら、私は本当は男に生まれて女を愛したかった、と思うようになりそうです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年3月6日
読了日 : 2015年3月6日
本棚登録日 : 2015年2月4日

みんなの感想をみる

コメント 3件

円軌道の外さんのコメント
2015/04/19


るりまつりさん、はじめまして!
関西出身で東京在住、
読書は勿論、映画と音楽と猫には目がないプロボクサーです。
早速のリフォローありがとうございました(^o^)

僕もこの金城さんの小説大好きです。
感性が似てる部分があるからか
同世代だからなのか分からないけど、
いつも共感しきりだしストンと腑に落ちて
他人とは思えないくらい肌で理解できるんですよね。

この作品は特に純粋な恋愛小説なので
文章がすごくロマンチックで
うっとりするような詩的な表現や 情景描写にも激しく惹かれました。

それにしても、 ゆりまつりさんのレビュー読ませてもらって、
その優しい眼差しと繊細な感性に惹きつけられました。
またオススメありましたら
教えていただけると嬉しいです(笑)

ではでは、これからも末永くよろしくお願いします!
また素敵なレビュー楽しみにしてるし、
いろいろ参考にさせてもらいます。

あっ、コメントや花丸ポチいただければ
必ずお返しに伺います。
(仕事の都合によってかなり遅くなったりもしますが…汗)

るりまつりさんのコメント
2015/05/23

コメントいただいていたのに、ずっと気づかないまま、本当に申し訳ありませんm(_ _)m
体調を崩して、3月、4月と寝たきりの事が多かったのですが、漸く回復して来ました。読んだ本全てには、レビューがなかなか書けませんが、ぼちぼち楽しんで行こうと思っています。
この『対話編』は、本当に素敵な作品ですよね。円軌道の外さんの本棚は、私の好きな作品が沢山あつて、楽しみです。プロボクサーの方と本を通じてお話する事があるとは夢にも思いませんでした。これからも宜しくお願いします(^ ^)

円軌道の外さんのコメント
2015/06/13


るりまつりさん、おはよーございます!
ご無沙汰しております。

いえいえ、僕のコメントはお気になさらずに(笑)
それより、お体大丈夫ですか?

僕はるりまつりさんの
好きが伝わる、誠実で感じのいいレビューが好きなので、
あまりムリをなさらずに
るりまつりさんの『好き』を少しずつ増やしていってくださいね。

自分だけの『好き』は心の核になって
どんなツラいときも自分自身を救ってくれます。

あはは(笑)
僕は見た目がいかつく見えて
いかにも本なんて読まなさそうに見えるのか、
本屋でうろうろしていたら
必ず万引き犯に間違われて警戒されます(笑)(^^;)
(顔が傷だらけでいつも大きなスポーツバックを持っているのも怪しく見えるのか、いつも誰か書店員があからさまに僕をマークしてるのを感じます笑)

あっ、こちらこそ
末永くよろしくです!
また僕の本棚にも気軽に遊びに来てくださいね(^^)

素敵な週末を!



ツイートする