『対話篇』 金城一紀 講談社
もともと金城さんは好きでしたが、これはタイトルから、難しい物を連想してしまい、読んでいませんでした。想像していたのと全く違って、しみじみと良い作品でした。
3つの物語が入っているのですが、どれも引き込まれ、特に最後の「花」は、切なくて鼻の奥がツンとしてしまいました。
一つ一つの話に浸ってしまい、どれも「恋」の話なのに、何でタイトルが『対話篇』なんだろう?と訝しく思う鈍い私。一晩たってから、3つの話が、全て二人の男性の「対話」で成り立っている事に思い至り、納得しました。
それぞれに、死と生、男と女、運命を考えさせられる話でしたし、内2篇に、レコードのセンターラベルに《UNbreakable》とシールが貼られているにも関わらず、それが割れる話が出てきたのも、何か象徴的でした。
これを読んで、対話とは男同士の物で、愛し合う男と女に必要なのは、手を離さないで居続ける事なのかも…。と思わされました。
金城さんの書く人物の言動に、いつも心臓を締め付けられる様な愛着と憧憬を感じるのは何故なのでしょう。どうしてこんなに心惹かれるのでしょうか。私の場合、それが異性に対する憧れでは無く、自分が男なら、男に生まれていたら、と言う強烈なシンパシーを伴う物として迫って来るのです。
金城さんばかり読んでいたら、私は本当は男に生まれて女を愛したかった、と思うようになりそうです。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年3月6日
- 読了日 : 2015年3月6日
- 本棚登録日 : 2015年2月4日
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コメント 3件
円軌道の外さんのコメント
2015/04/19
るりまつりさんのコメント
2015/05/23
円軌道の外さんのコメント
2015/06/13