小説より小説のような事実、ってのは世の中枚挙に暇がないけど、“記憶喪失”もそのひとつかもしれない。物語の中ではあっさり使われるそれを、実際に体験してしまった著者による生々しい手記。18歳時の事故で著者が失った記憶は、名前や家族の記憶に留まらず、数の数え方から食事やトイレなど生理現象そのもの、そして感情。その状況自体の恐ろしさが背筋を冷やすが、周囲の厳しさと優しさ、そして家族の難しさと供に乗り越えていく様が描かれ、記憶と社会との繋がりを考えさせられる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2016年1月21日
- 読了日 : 2016年1月20日
- 本棚登録日 : 2016年1月21日
みんなの感想をみる