行動科学が教える日本一やさしい職場ストレスマネジメント講座

著者 :
  • セブン&アイ出版 (2013年11月28日発売)
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感想 : 4
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ストレスをコントロールするには思考ではなく行動であるということに焦点を当てて書かれています。
今まで統計を見たことがなかったので知りませんでしたが、上司と部下のそれぞれの立場から生み出される悩みや想い違いが結果としてストレスを生む原因となっていることが分かりました。こうして数字でありありと現実を見せられると改めて考えなおすためのきっかけになります。
心を穏やかに保つためのテクニックなども盛り込まれているので、現在置かれている環境にイラ立ちなどがあれば読んでみてはいかがでしょうか。
ここからは私が納得したり面白いと思った内容を抜粋して残しておきます。

■人はひとりでストレスを作り出す
ストレスは完全になくすことはできない。しかしその大半が本当は実在しないで済むものを人が勝手に作り出しているだけである。

■職場のコミュニケーションに関する意識調査 by公益財団法人日本生産性本部
そこでは「部下をほめていますか」に対して「ほめている」の回答は80.3%
「上司はあなたをほめていますか?」という設問に対して「ほめられている」という社員は51.4%にとどまっている。
また、「部下を叱ることについてどのように考えているか」上司の89.0%が「育成につながる」という回答をしている
一方で一般社員は「やる気になる」と回答したのは42.3%にとどまり、叱られると56.8%が「やる気をなくす」と答えている
このような愛のムチ理論は今では通用しない。

■叱るのに「人格否定」は不要
すぐに泣いてしまう男性も増えてきているので人格や内面に踏み込まず、「行動」に対してのみ叱るべき。

■上司がいなくてもなんとかなる
考え方や態度といったあいまいなものでなく、とるべき「行動」を教える必要がある。そうして部下にしてほしい行動を具体的に示すことで上司は自分が抱えているいくつかの仕事を手放すことができる。

■行動科学マネジメントでは誰が見て聞いても同じように動ける言葉しか用いない
行動科学マネジメントでの「行動」とは「MORSの法則」によって定義づけられる。
M:measured(計測できる)
日程、時間、数量などが数値化されていること
O:observable(観察できる)
特定の行動をしているかどうか、誰が見てもわかる
R:reliable(信頼できる)
誰からもばらつきなく同じ評価を得られる
S:specific(明確化された)
その事象がはっきりとしている

これらを満たすことではじめて部下は仕事のやり方がわかる。

■ポジティブ信仰に左右されない
欧米ではポジティブシンキングが過去の遺物となっている。それは無理にポジティブにすることで本音と落差を生み出してうつ病などの精神面に問題を起こす原因ではないかとみられ始めたからである。

■マインドフルネスをやってみる
認知のゆがみを少しでも避けるためには余計なことを考えずに、その事実をありのままにとらえるにとどめるべき。マイナス感情に引きずられそうになったときは、いたずらにそれをふくらませるのをやめて意識を現実といまに戻すことを心がける。

■「自己効力感」を高める
物事を「できそうだ」と感じる気持ちを専門用語で「自己効力感」という。この自己効力感を高めるためには次の4つの要素が重要とされている。
1.自己の成功体験
過去に起こした同じようなことを上手にさばいた経験
2.代理的体験
自分以外の人がうまくやり遂げたのを見て「それなら自分もできそうだ」と感じること
3.言語的説得
周囲の人から「あなたならできる」と言ってもらうこと
4.生理的状態
誰でもノリノリの状態であればチャレンジが怖くなくなる

■4つほめて1つ叱るがちょうどいい
行動科学マネジメントではこの割合がちょうどいいとされている。また、ほめるときも叱るときも大事なのは態度ではなく「行動」にフォーカスすること。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス書
感想投稿日 : 2016年8月28日
読了日 : 2016年8月28日
本棚登録日 : 2016年8月20日

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