地銀と中小企業の運命 (文春新書 1400)

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  • 文藝春秋 (2023年3月17日発売)
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地銀と中小企業の運命 (文春新書 1400)
著:橋本 卓典
人口減少に金融機関が生き残る道は、そもそも2つしかない。極力人手をかけず廉価なサービスを提供していく「資本集約型のデジタルバンク」と、地域と企業の課題を解決していく「労働集約型銀行」である。
規模に限界があり、人口減少地域を地盤とせざるをえない地域金融機関には「労働集約型」の道しか残されていない。顧客と密着した関係性を築き、事業性への深い理解に基づき、顧客の課題に対して、付加価値を伴う解決策を見つけ出す「リレバン」というあり方である。ただ必要なのは、単なるスローガンや精神論の「リレバン」ではなく、付加価値と生産性の向上を経営と結び付けて実現する「リレバン」である。銀行経営はもっと踏み込んで尖らねばならない。
本書の構成は以下の12章から成る。
①ゼロゼロ融資40兆円という時限爆弾
②金融検査マニュアルが銀行をダメにした
③捨てられる銀行と生き残る銀行を分かつもの
④経営改善計画をどう作成・実行するか
⑤自分事の企業支援
⑥10年後に評価される仕事
⑦ファミリー企業をどう支援するか
⑧企業支援のプロたち
⑨リレーションシップ・バンキングの実践
⑩銀行の常識を捨てた銀行
⑪ビジネスはコミュニケーションから生まれる
⑫金融庁「業種別支援の着眼点」徹底解説
2016年に発刊された「捨てられる銀行」シリーズから、私を含めて多くの金融機関人や地域貢献に携わる人が、「捨てられる」というワードから自分目線からお客様目線で貢献に対して考える新たなきっかけをいただいている。
シリーズが発刊される度に、最新のお客様目線の対応が本書に記されているように「オモロイ」エピソードで読み易く、自分事に置き換えやすく紹介されている。
結果とプロセスだけではなく、当事者の生き様や背景を含めた気持ちが情緒を含めて書かれており、その生々しさから難しさだけではなく、自分たちにも出来る。やりたいと思える仕組みにより展開されている。
自分が歩んでいる道が正解に近いのかどうかを確かめると共に、これから求められることを考えて、自身の現状からの不足分を埋めるための数年にわたるロードマップを作りかえる等、それぞれに違った恩恵を受けて本書から学ばせていただいている。
今の自分のミッションは、多くのエッセンスから学んだことを実践することと、自分の近くにいる仲間にそれを伝染させ、共に考え行動し、地域・お客様に貢献することであると考えている。
硬く狭い視野に自身の視野に築き反省させていただき、次の一歩を踏み出す勇気をいただいている。
感謝を忘れず、力を合わせる、貢献と連携で長期的なイメージをこつこつと積み上げ続けていきたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 金融
感想投稿日 : 2023年3月25日
読了日 : 2023年3月25日
本棚登録日 : 2023年3月25日

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