最初、清水義範のパスティーシュ物?と思ってしまうぐらい、不思議な気分になってしました。我らがソウルフード、ラーメンの歴史を海外の研究者が真面目に熱く、広く深く論じていること自体、ある種の過剰さを持つのだと思いますが、その視点の豊穣さと、後付けの歴史に惑わされない厳格な論旨によって、日本の近代化のシンボルとしてのラーメンが浮かび上がってきます。特に戦後のアメリカの反共政策としての小麦輸出の出口であったことは新鮮な指摘でした。(たぶん広島のお好み焼きも同じ文脈なんだと思います。)ミクロとマクロ、ハレとケ、都会と田舎、グローバリズムとナショナリズム、中国と日本、日本とアメリカ、そして過去と未来、いろんな狭間に揺蕩って、ラーメンは矛盾に満ちたわれわれの日常に存在感を放っているのだと感じました。この本、3日で読みましたがその間にラーメン3杯食べました。
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- 感想投稿日 : 2015年12月3日
- 読了日 : 2015年12月2日
- 本棚登録日 : 2015年10月18日
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