毒の話 (中公新書 781)

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  • 中央公論新社 (1985年10月23日発売)
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感想 : 17
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毒の話を読みながら、毒は深く医学に結びついていることを理解した。
植物学と医学は切っても切れない状況だった。
植物に対する理解が、薬師となり、医者の役割を果たしていた古代、
医者に必要なのは、薬だった。
自分で薬草園をつくり調合していた。
それが薬学として、発展し、ケミカルの時代を迎えた。

毒は、死とも結びついていた。
王様および権力者は、つねに毒殺の危険にさらされていた。

この本を読みながら、
マルコポーロの「東方見聞録」をきちんと読みたいと思った。
ここで何が伝わったのか?
また、コロンブスが、新世界から、何を植物として伝えたのか?
コロンブスの伝えたものは、
タバコ、トウモロコシ、サツマイモ、ジャガイモであった。

神秘に包まれたマンドラゴラは、
古代人の催眠飲料、または吐剤として、
一番古くから重要な役割を演じている。

おそらく、ペルシアからギリシアへ、
ギリシアから地中海諸国へと伝わったナス科の植物で、
不気味な細長い根をもち、
何となく人間の形を思わせるものがあって、
殊に、黄色味がかって、赤い、

よい匂いのする果実と結びつき、
よけい神秘的人気を博したものらしい。
現在はこの植物から、ヒヨスチンおよびスコポラミンという
二つの猛毒性アルカロイドが発見されたが、
化学者がこれを発見する数千年前から、
人類はその液汁を催眠飲料に供していたわけである。

その毒性を転用して、外科手術にクロロホルムなどと
同じように使われてもいた。

有名な『君主論』の著者マキアヴェルリが
晩年に『マンドラゴラ』なる戯曲を書いているが、
これは、その毒薬を種にして、
ありとあらゆる悪玉が手練手管の限りをつくすという芝居である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 医療/薬草/漢方
感想投稿日 : 2013年1月13日
読了日 : 2013年1月13日
本棚登録日 : 2013年1月13日

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