事業創造のダイナミクス

著者 :
  • 白桃書房 (1989年7月1日発売)
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3

「企業ドメイン」という啓発されるべき本
の前の労作を手に入れた。

その内容は、平易には語っているとは言い難いが、
いくつかの学ぶべき内容が多くあることを感じた。

この中には、大企業における
「新規事業創造のプロセス」
について論じられている。
「既存事業の延長上にはない新規事業を
社内資源を活用して創造する企業の努力」
についてかかれている。

その中から「戦略と組織の全社的な変動プロセス」
<経営学>→<組織学>→<企業戦略論>

確立された強みをもつ大企業ほど、
「新しい成長戦略」は、必要であるが、遂行が難しい。

「組織の慣性を打破し、新しい発想をもって
ダイナミックに自己革新をはかることが難しい。」

特徴は、「製品開発」というより
「事業創造」ということが目的になる。
1)既存事業との関連度(relatedness)
2)市場/技術への精通度(familiarity)
3)ベンチャーの戦略的重要度

新事業の華々しい成功は、
それに先立つ失敗から生まれることが大きい。
使用による学習  learning by using
実行による学習 learning by doing
失敗による学習 learning by failing

社内ベンチャー導入の理由
1)多角化
2)新製品開発
3)新事業に適した組織風土の創造

なぜ社内ベンチャーが失敗するのか
1)小さすぎた市場規模 不正確な市場調査
2)流通システムとの不適合 流通に関する問題
3)既存の販売部隊からの抵抗  組織間の嫉妬
4)人材の問題

ICVの消長
1)多角化に対して企業が
どの程度積極的かという企業戦略思考
2)新ベンチャー部門(NVD)が
どのように位置づけられているのか

ベンチャー・チームの正当性と優位性を確保するため
トップとの強固な関係が協調される。

ICV
1)アメリカでは、スピンアウトを
防ぐための手段であるが、
日本では、社員の活性化の手段

2)日本では、「自立性と創造性」
を確保するため、社内ベンチャー方式の多用

3)「社内企業家」の評価
(1)給与などについては本体での処遇を保証する。
(2)社内ベンチャーの人材は、出向ではなく、移籍。
(3)社内公募で希望者を集める。
(4)社外ベンチャーの従業員にその会社の株をもたせる。
(5)本体とは、給与体系を変え、能力主義を徹底させる。

「デザイン」という概念を使って分析
戦略も組織も、概念(コンセプト)に
「かたち」(form)を与えるデザインの営みにほかならない。

スリーエム
新製品のアイデアを持った人間は、
まずインフォーマルに自分のアイデアの
商品化をめざして、「密造」(boot legging)を始める。

「15%ポリシー」と呼ばれる制度があり、
技術者は、自分の就業時間の15%までは、
自分の夢のために使用してよい。
New Bussiness Ventures Division

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経営/戦略/マネジメント
感想投稿日 : 2013年1月23日
読了日 : 2013年1月23日
本棚登録日 : 2013年1月23日

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