プロの課題設定力

著者 :
  • 東洋経済新報社 (2009年7月30日発売)
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ある問題をどう解決するかの「アプローチ方法」も当然重要だが、そもそもの「問題設定の仕方」が正しくないと、仕事の質はあがらない。様々な問題の中で「あるべき姿と現状とのギャップを埋めるモノ」こそが『真の問題=課題』である。この正しい課題設定の一連の流れが、非常にわかりやすく整理された本。

以下、参考になった点、引用、自己解釈含む

・相手の期待を超えて初めて評価される。

・課題設定から実行に移すまでには「①発注人の理解」「②良質なインプット」「③インプット情報の組み立て(プロセス)」「④アウトプット」の流れ。

・その課題は誰にとっての課題なのか。同じ問題でも、見る立場によって問題の捉え方が変わってくる。その仕事の「真の発注人」を想像し、言われた課題の「視座」を上げて捉えることが大事。その為にも、発注人のバックグランドを正しく把握することが必要。バックグランドを把握する為の切り口として「ニューロロジカルレベル(NLP)」と、「ベルビンロール(BR)」という考え方で整理するのがおすすめ。

・NLP
「①環境:その人がおかれている立場」
「②行動:その人が好む行動特性」
「③能力:その人がもっている知識や理解力、実行力」
「④信念:その人がもつ考え方の中心(売上>利益主義とか)」
「⑤:自己認識:その人が自分自身をどう捉えているか。覚悟、意識の持ち方とか」

・BR
「①調整者:全体をコーディネートするのが得意。細かいことは自分で見ないため、細かな作業だけではあまり評価してくれない」
「②意思形成者:タスクを早く完結することを喜びとする、自信があって結果重視。新たな挑戦などを好む。指示を出すことが多く、人の意見を取り入れる余地が少ない。」
「③創造者:アイディアが豊富。内気な傾向もありアイディアを批判されると内に閉じこもってしまう。アイディアを否定せずに膨らませる形で意見をすると良い」
「④監査役:数字に強く、分析が好きな批評家タイプ。アウトプットを細かく見てあらさがしをしてしまう為、現場のモチベーションを下げてしまう傾向。最初からその傾向に注意し、リスクを予め回避できるよう早めに接する」
「⑤実行者:着実に実行するのが得意で理論的にアプローチを好む。確実に実行したいため、物事を局所的に捉えてしまい、大局的な話をすると理解が出来ず不安になる」
「⑥調達者:フランクなタイプ。すべて自分で解決するよりも、色々な選択肢を集めて広げていくタイプ。社交的で色々な人に話が通じやすい。物事が拡散しがちで、周囲が振り回される欠点も。その人の人脈を活用すると喜ぶ傾向」
「⑦協調者:他人の感情を読むことに長け、協調性を重視して物事を進める。とにかく物事を荒立てたがらず、人間関係を重視するため、ドラスティックな行動を好まない」
「⑧完璧主義者:完璧にしないと気が済まないタイプ。できないということを非常に嫌がる。プロセスやアウトプットも細かく要求。人に任せられない。最初の課題設定の段階で詳細なディスカッションをしておく。信頼を得られた後は、任せてくれることも多い」

・課題を「空間軸(業務の範囲を広げてみる))」「時間軸(いつの時点でのあるべき姿なのか)」を加えて捉えられる『視野の広さ』が重要。

・課題設定の際には「①自己防衛(自分が出来ないことを避ける)」「②先入観(本質的な問題に目を向けない)」「③落としどころを決めてかかる」の3つの壁があることを意識する。

・聞く際には「①対象(現状、あるべき姿、問題点)」「②内容(感情、思考、事実)」「③明確にするポイント(省略化、一般化、歪曲化)」の『3×3マトリクス』で考える。

・思考の組み立てとして、ロジカルシンキングに、ラテラルシンキングを組み合わせる。ラテラルが入らないと、思考のジャンプが出来ず、限られた範囲内での課題解決しかできない。(オズボーン、6ハット、4Cなど)

・アウトプットの流れとして「①現状とあるべき姿」「②目的とゴール」「③アプローチ手順」「④スケジュール」「⑤体制役割」「⑥想定リスク」の流れで作るとわかりやすい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年5月16日
読了日 : 2013年5月16日
本棚登録日 : 2013年5月16日

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