小学校を卒業したばかりのトモミの気掛かりは家のことだった。
隣のお家のおじいさんと敷地を巡ってのトラブルに、
お父さんは問題から逃げちゃうし、お母さんも疲れ切っていて、おじいちゃんはマイペースに部屋の片付けをしている。
トモミの不安を取り除いてくれるのは、弟のテツだけだった。
テツと近所を歩き回って出会ったのは、たくさんの野良猫たちと、猫たちに餌をやっているおばさんで
はじめは警戒しながらも、徐々におばさんの猫の餌やりを手伝いながら友達になっていくトモミとテツ。
おばさんが熱を出した時は、看病と猫の世話の代わりにしてあげ、
ある日から伝染病で数を減らしていく猫たちと
それに屈することなく薬をあげるテツ。
隣の家のおじいさんが、怒ってテツを捕まえたとき、
トモミはありったけの力で、身体中から叫んだ。
いい子でいることなんてやめる、家族がバラバラな気持ちになっていることも気に病む必要なんてない。
成長する自分の体に感じていた不安も、それを傷つけようとする存在にも屈しない。
大切な弟を守るため、突然倒れたおじいさんは憎いけれど、見捨てないという賢い判断。
中学に上がる前の短い春休みのトモミの成長。
よかった。最初じめじめ暗い話だったけど、最後のところが本当によかった。
もう少し私が若ければ、泣いていた。
作者の少し実体験みたい。猫好き。
少女の不安と成長が、いい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2022
- 感想投稿日 : 2022年5月17日
- 読了日 : 2022年5月17日
- 本棚登録日 : 2022年5月17日
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