小泉官邸秘録

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2006年12月1日発売)
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感想 : 37
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竹中平蔵氏の構造改革の真実は,小泉改革が実際の舞台をスリリング且つ大胆に書き綴ったものであり,次はどうなる?の思いから,まるで推理小説のページをめくるかのように読み進んでしまった。小泉内閣において竹中氏が関わるのは,不良債権問題と郵政民営化に関わる経済・財政に関するものに限られる。

経済・財政問題に留まらず,小泉政権発足時には多くの困難な問題が山積しており,また新たに発生する問題も同じく困難を極めるものばかりである。この本を読みたいと思ったのは,竹中本では知る事ができなかったこれらの諸問題についても,小泉内閣の舞台裏がどうであったのかということを知りたいという気持ちからである。例えば,ハンセン病訴訟,医療費改革,年金改革,道路公団改革などの内政問題から,北朝鮮拉致被害者,イラクへの自衛隊派遣などの外交問題。さらに,突発的に発生した,アメリカでの同時多発テロや,BSE問題,新潟中部地震への対応など困難を極めるものばかりだ。

これだけの課題を抱えつつ,5年半もの間,驚異的な支持率を維持しながら困難な問題に解決の道筋をつけたことは,日本の民主主義の歴史を振り返っても歴代総理の中では群を抜いて功績が大きいと言っていいだろう。おそらく数十年後の社会科などの教科書で,日本の歴史的なターニングポイントとして小泉総理の功績は触れらるであろうし、またそれを期待する。

それにしても、郵便、郵貯、簡保の郵政3事業が人件費を除いた間接費だけでそれぞれ1兆円、計3兆円も使っているとは・・・民間でそれだけの経費を使う会社があれば当然倒産だろうに。全く持って腹立たしい。

書籍としては,竹中氏のものが読み手を引き込む文章や内容という意味で素晴らしさがある。飯島氏は,事実を淡々と述べるような文体であり,正直物足りなさを感じるのは否めない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年10月8日
読了日 : 2007年1月21日
本棚登録日 : 2018年10月8日

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