ローワン版のメグレで、メグレと周囲の関係者の履修が済んだあと立ったこともあり、話に入っていきやすかった。「人」に注目して真実をたどって行く手法というのは派手さはないものの私は非常に好みである。不幸にも殺されてしまった若い女。パリの街で暮らす素性が不確かなこの娘がたった一人殺され、真相だって特に何てことはない(それがまた哀れなんです)というのに、ここまで深い話が作れるのか・・・。何も入っていなかった封筒を見て、彼女は何を思ったのか。ルメートルの作品もそうだけれど、フランス人の描くミステリというのは読者の心を全力で叩きのめしにかかってくるよ、読み終わるとずしりをくる。もっと新訳版が出て欲しい。
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- 感想投稿日 : 2023年5月7日
- 読了日 : 2023年5月7日
- 本棚登録日 : 2023年5月7日
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