サン=フォリアン教会の首吊り男〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房 (2023年5月23日発売)
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感想 : 10
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はじめ厨二病こじらせたとかTwitterに書いたんだけど、終盤のベロワールの話をもう一度読み返したら、確かにそうなのかも知れないけど、それがそれぞれの抱える問題の中で取り憑かれたように本気に受け止める人が出てしまったことなのだろうなと思った。あれはまあ表面的な感想だったと思う。

過去の取り返しのつかない事件をどう乗り越えていくのか?贖罪の手段はそれぞれだとして、表向き平穏そうに生き延びた彼らは生き抜くことで乗り越えようとし、反対にもう一方の彼らは破滅が贖罪になってしまったのかな?破滅を選んだわけではなくても、自然とそちらに向かうように選び取ってしまっていた。人を殺すことなんかよりその後の方が難しい命題なのだと思う。

凝った話ではないけど、シムノンの人の描き方は鋭い。どの時代でも受け入れられるものだと思う。奇抜さが好まれるこの世の中にも、このお話の彼等のような人間はでてくるのではないでしょうかね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年7月12日
読了日 : 2023年7月11日
本棚登録日 : 2023年7月8日

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