民法改正の真実─自壊する日本の法と社会

著者 :
  • 講談社 (2013年3月12日発売)
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感想 : 3

民法改正案を違った角度から学べるかと思いきや、終始東大の内田貴教授の批判を書き連ねるという徹底ぶり。ほとんど民法改正案には触れられずに終わった。よくこの内容で一冊の本が書けたものだ。ある意味著者の筆力に敬服した。ありていに言って、売りました、買いましたという至極単純な世界を条文化したに過ぎない民法の改正案を憲法改正に匹敵するほどの大事件とまで言うあたり、素人には理解できない点多々あるが、やはり具体的に改正案のどこが私たちの生活に影響するのか記載されないことには実感がわかない。その影響というものをグロテスクな比喩でしか表現できていない点、私たち素人には物足りなさが残るのである。

P257
アメリカで学んだというその医療研究者は、アメリカとその関係する国際機関で最近すばらしい人工心臓のモデルが開発されたといい、~それを移植してはどうかとあなたに強く薦める。
もうあなたもけっこういい歳だから、そろそろ心臓を取り替えたほうがいい、いま特段の問題がないように見えても、素人にはわからない問題がじつはある、~絶対にこれを移植したほうがよいというのである。
~あなたは、手術からほどなくして人工心臓に対する身体中の拒絶反応に苦しみはじめ、研究者に対し、どうにかするよう求める。しかし、研究者は、臨床経験をほとんどもたず、拒絶反応の及ぶ範囲すら予測していなかったばかりか、自分の作った試作機の問題点を絶対に認めようとしない。
あなたは、体をもとに戻すよう研究者に詰め寄る。しかし、医療廃棄物として処分された心臓が体に戻ってくるはずもない。
そうこうするうちに、体中に拒絶反応が起こり、~体の各所が壊死を起こして、数年とももたずにあなたの体は危険な状態となる。
ただ、人工心臓だけは独立の動きを保ち、無機的な鼓動を刻みつづけていた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 法律一般
感想投稿日 : 2014年5月29日
読了日 : 2014年5月29日
本棚登録日 : 2014年5月29日

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