魔女狩り (岩波新書 青版 742)

著者 :
  • 岩波書店 (1970年6月20日発売)
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中性からルネッサンスにかけて、ヨーロッパで荒れ狂った魔女狩りの実態を解説している本です。

ローマ・カトリック教会は、南フランスで展開された異端運動に対してアルビジョワ十字軍を送り込み、鎮圧します。そしてこの事件を機に、教会は異端審問にまつわる制度を整えますが、その制度のもとで残虐な魔女狩りがおこなわれ、無実の人びとが魔女の烙印を押されて、拷問を受け、処刑され、財産をうばわれることになりました。本書は、そうした魔女狩りの実態を明らかにするとともに、それがもっとも激しくおこなわれたのが、近代の曙とされるルネッサンス時代であったことに目を向け、光に満ちた近代へ向けての進歩という、一般に広く受け入れられているヨーロッパの歴史の見かたの背後に存在していた事実をえがき出しています。

著者は、「人間は宗教的信念をもってするときほど、喜び勇んで、徹底的に、悪を行うことはない」というパスカルのことばを引用していますが、本書に記されているような非道なおこないが、信仰の名のもとにおこなわれたことを知ると、人間性そのものに対する絶望感にとらわれてしまいます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史・地域・文化
感想投稿日 : 2023年7月11日
読了日 : -
本棚登録日 : 2023年7月11日

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