1789年のフランス革命の意味を問いなおすことを通して、1989年時点における憲法および立憲主義をめぐる諸問題を考察している本です。
著者は、ホッブズやルソーにまでさかのぼることで、西洋の政治思想における個人と国家の相克をめぐる議論の核心にメスを入れ、個人を担い手とする「人権」という考え方と、「国家」という政治的統一とのあいだの緊張関係が織り成してきた問題の地平をえがこうとしています。そのうえで、諸個人と集権国家を二つの極にもつ「ルソー=ジャコバン型モデル」や、アメリカの「ウェストミンスター・モデル」などの理念型をとりだすとともに、多極共存型の民主主義というモデルの可能性を展望しています。
普遍性と多様性とのあいだで引き裂かれる立憲主義の孕んでいる問題を、比較憲法学という観点から明瞭なしかたで論じており、興味深く読みました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
法律
- 感想投稿日 : 2018年8月20日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2018年8月20日
みんなの感想をみる