批判哲学の大成者であるカントが『視霊者の夢』でとりあげ、ユングや鈴木大拙によって評価されたことで知られるドイツの神秘思想家スウェーデンボルグ(スヴェーデンボリ)の生涯と思想を解説しているコンパクトな評伝です。
科学者として優れた才能を示しながら、霊的世界の探求へと方向転換し、キリスト教の正統に対する鋭い批判をおこなったスウェーデンボルグの思索の全貌を概観することができる良書だと思います。ただ、彼の科学研究と霊界にかんする思索のつながりが明瞭につかみがたいという印象があります。ヨーロッパの精神史にも触れながら、こうした問題に対する見通しを示してほしかったように思います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
宗教
- 感想投稿日 : 2019年6月29日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2019年6月28日
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