芭蕉魔星陣 (講談社文庫 い 31-10)

著者 :
  • 講談社 (1995年7月1日発売)
3.29
  • (1)
  • (4)
  • (11)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 51
感想 : 4
2

天和2年、朝鮮通信使として日本やってきた隆光則とその部下の玄武・白虎・青龍・朱雀の5人は、関ヶ原近くの隠し陵を訪れ、恨みを呑んで死んでいった怨魔皇帝をこの世界によみがえらせます。怨魔皇帝は、役小角、安倍清明、空海の三霊人を封じ、将軍綱吉に憑依して、この国の民を塗炭の苦しみに陥れることになります。

一方、大学生の御子柴明(みこしば・あきら)は、関ヶ原近くの黒血村に生まれた英ミユキ(はなぶさ・みゆき)と交際していました。ところが彼女は、先祖代々殺人を犯してきた呪われた血を受け継いでおり、このまま生きていてはいけないと明に告げ、彼もミユキに引きずられるように睡眠薬を呑んで心中を図ります。

しかし2人は死にきれず、生と死のはざまにある時泡という世界にたどり着き、怨魔皇帝に封じられている役小角と出会うことになります。役小角は、徳川光圀に仕えて全国を回っている忍者・松尾芭蕉のもとに明とミユキを送り込み、3人で協力して三霊人を怨魔皇帝の呪縛から解き放ち、皇帝の野望を打ち砕くよう指示します。

タイム・スリップによって現代の大学生が江戸時代にやってきて悪霊と戦うという伝奇小説です。芭蕉が忍者だったという説を題材にしながら、お七による放火事件、大老堀田正俊が殿中で刺殺された事件、水戸光圀の『大日本史』編纂などの史実がストーリーの中でたがいにリンクしていくのがおもしろくよめましたが、突拍子のない設定にちょっと突いていくことができなかったのも事実です。もっとも、単純に楽しんで読めばよいのではないか、という気もします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本の小説・エッセイ
感想投稿日 : 2017年3月22日
読了日 : -
本棚登録日 : 2017年3月22日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする